新型コロナウイルス感染症と内定取り消し問題について

事業者の皆様におかれましては、この度の新型コロナウイルス感染症の影響により、通常の企業活動に影響が生じ、採用予定であった新入社員等の雇用が難しくなってしまい、どのように対応したらよいかお悩みになられている方、また、採用の見送りなどを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

法的観点から申し上げると、「内定」に過ぎないとはいえ、原則として事業者側が採用内定通知を自由に取り消すことはできません。というのも、事業者が採用内定を通知した時点で労働契約が成立していると考えられているからです。採用内定によって労働契約が成立している場合には、「内定取り消し」は「解雇」に当たり、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効となります。

つまり、不適法な内定取り消しを行った場合には、内定取り消しが無効となったり、さらには多額の損害賠償を支払わなければならなくなるなど、大きな責任を負うリスクがあります。

なお、厚生労働省の「新規学校卒業者の採用に関する指針」においても、「事業主は、採用内定取消しの対象となった学生・生徒の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、採用内定取消し又は入職時期繰下げを受けた学生・生徒からの補償等の要求には誠意をもって対応するものとする。」とされています。

今回の新型コロナウイルス感染症による経営悪化が原因の内定取り消しの場合も、事業者側の都合による内定取り消しであり、解雇の場合と同様に、原則として「整理解雇の4要件」(「整理解雇の4要件」については「新型コロナウイルス感染症と整理解雇について」をご覧ください。)を検討する必要があります。また、事業者側の対応がこの4要件に該当するかどうかの判断にも慎重さが求められます。

内定取り消しは大きなリスクが伴いますので、労務に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。弊事務所は、過去に解雇有効判決を取得した実績もございます。また、100社以上の顧問先様とお取引させて頂いており、業界も多種多様です。事業活動で直面する様々な問題に対して、法律問題に留まらず様々な解決策をご提案させていただいております。どうぞお気軽にご相談ください。

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