メンタルヘルスについて
メンタルヘルスは、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4大疾病に次ぐ5大疾病です。
精神疾患の中でも特にうつ病は誰もが罹患する可能性があるものです。うつ病の原因は様々な要因が考えられますが、職場での人間関係や過酷な労働環境などによる精神的ストレスが大きく影響していると考えられています。
そこで、労働者が精神的ストレスを抱え精神疾患に罹患しないために、事業者側による日頃からのケアが大切であると考えられます。
事業者側が行うメンタルヘルスケアとして、大きく4つの切り口があります。これは、厚生労働省の「従業員の心の健康の保持推進のための指針」でも提言されている対策方法です。
1.セルフケア
メンタルヘルスケアをするにあたって、まず何より本人によるセルフケアが重要です。
疲れを感じたら休む、無理な労働はしないなど自分の労働に対する自己管理によって、自分のメンタルをコントロールすることが必要不可欠となります。
しかし、事業者側が労働者に無理な労働を強いたり、自己管理がうまくできない労働者もいますので、事業者側からのサポートも重要となってきます。
そのため、事業者としては、労働者にストレスチェックを受けさせ、自己のストレス具合を再認識させたり、自己のストレスに気づくための研修をすることが考えられます。具体的には、ストレス軽減のための仕事軽減の方法や気分転換の方法などを説明することが挙げられます。
2.ラインによるケア
これは、管理職が現場の具体的なストレス要因を把握し、職場環境を改善することです。
職場では、上司と部下という上下関係があり、部下は上司に従わなければならない関係があるため、職場環境の改善には管理職からのケアが不可欠です。具体的には、業務量が変わっていないのに部下の仕事能率が下がっていないか、必要以上に過度の仕事をやらせてないかを調査したり、従業員にアンケートを取ってみるということも1つの方法です。
3.産業保健スタッフによるケア
これは、医師や保健師といった専門的な知識を持った産業保健スタッフを利用してメンタルケアを行うものです。
管理者が部下のメンタルケアをすると、社内の人間である以上、本音を言えなかったりするなど、ケアにも限界があります。
そこで、第三者である産業保健スタッフがケアを行うことで、従業員の本音を聞きやすくなり、積極的なメンタルケアを期待することができます。
4.事業場外資源によるケア
これは、メンタルヘルスに関する専門機関を活用してケアを行うことをいいます。
自社内で手厚くメンタルケアを受けられるのは、大企業に限られるため、それ以外の企業は外部のメンタルヘルス・サービス・プロバイダー(メンタルヘルス関連業者)を活用せざるを得ません。
しかし、外部の機関への相談という点で、産業保健スタッフによるケアと同じく、有効なケアが期待できます。
外部のメンタルヘルス・サービス・プロバイダーが提供しているサービスは、EPA(Employee Assistance Program)と呼ばれています。このサービスは、職場の悩みだけでなく、本人のキャリアや部下指導に関する相談、プライベートの悩みなど幅広いサービスを受けることができます。プロバイダによっては、相談カウンセリング以外にも、専門のコンサルタントによる組織診断や従業員向けのメンタルヘルス研修など幅広いサービスがあります。
EPAへの相談は、メール以外にも対面で相談できるサービスもあるため、非常に便利なシステムです。