能力のない社員の解雇

普通解雇する方法

まず、能力がない社員を解雇したいと考えた場合には、会社としては厳格な人事評価を積重ね、かつこれを常時記録保存しておくことが大切です。

普通解雇するに至った場合には、その手続きを有利に進めていくためには、人事評価が低いこと、そのせいで業務に支障が生じていること、さらには、会社の求めている水準に達していないこと等を客観的に基礎づけなければなりません

そのためには、日常的にしっかりと人事評価をし、これを記録して客観的な証拠として保存しておく必要があります。

人事評価は、本来的には、解雇のために行う業務ではないことから、解雇の場合のことまで考えて行われることはなく、ついついやや甘めにしてしまうことも少なくありません。

しかし、いつ何時、解雇を迫られる状況になるかはわかりませんので、その必要性に迫られた際に、粛々と目的を達成させるためにもそのような準備をすること大切であります。

解雇という事態は避けられるのであれば避けたいものでありますが、会社の存立なくして、他の従業員の生活を守ることはできませんので、そのための準備をしておくことも大切なことといえます。

合意退職とする方法

合意退職を検討するという方法があります。この方法によれば、「解雇」という方法をとらずに、比較的穏便な完結を図ることができます。合意退職の成立には、従業員からの合意退職の「申込」とこれに対する使用者側の「承諾」が必要となります。

しかし、まず最初に注意すべき点は、たとえば労働者が「辞職願」を提出してきた場合、それが辞職の意思表示なのか、それとも合意退職の申込なのかという解釈の違いによっては、その労働者が、撤回できるか否かという点に大きく影響します。

この点について、労使関係は、信頼関係を基礎とする継続的契約関係でありますので、原則として、「辞職願」の提出は、合意退職の申込と判断されます。したがって、この場合には、使用者は、承諾を必要があるとともに、従業員側からの撤回の余地も残されているということになります。

たとえば、ひとつの裁判例ではありますが、ある従業員が常務取締役に「退職願」を提出し、その取締役が受理し、直ちに承諾したものの、その後、従業員が「退職願」を撤回したという事案において、従業員の任免等に関する事項を分掌する労務部による適正な手続きを経た上での承認がない間に、従業員が撤回したことを理由に、撤回を認めたというものがあります(岡山地裁平成3年11月19日判決)。

この事案からもわかるとおり、正式な承認権を有する者による承認がなされないと後に、撤回され、合意による退職の効果が否定されるという事態が生じえます。

おわりに

これらの種々の方策がありますが、その方法選択や具体的手続きについては、種々の法律や判例等がありますので、それらに則って遂行する必要があります。もっとも、専門性が高いことから判断を誤る危険性もありますので、専門の弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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